頭ではわかっているけれどできない!?
頭ではわかっているけれどできない・・・。
こういう思いになったことは、一度や二度ではないはず。カウンセリングに来る方はこのような状況を抱えているのがほとんどです。
「こうしたほうがいい」「ああした方がいい」などというのは、ある程度はわかっています。それがスムーズにできないから、悩んでいるんですよね。
だから、苦しんでいる人に、ストレートなアドバイスをすると、余計にその人を苦しめたり、最悪の場合、本当に人間関係が壊れてしまうことも。なぜなら、頭ではわかっているからです。
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今回、またこのテーマで記事を書くにあたり、以前も、このような内容を書いたなと思い出しました。(頭ではわかっているけれどできない時の3つの理由)今回は、別の切り口から書きます。
まず、明らかにしておきたいことは、頭ではわかっているのにできないことは「自分にとって」できないだけで、それがスムーズにできる「他人」もいますよね。人との比較はやめようなんて、そんなことを今ここでは言うつもりはありません。ただ、人によってすぐにできたり、できなかったりするんです。こんなことは当たり前のこと。
カウンセラーは、心の専門家です。人の相談を受けていると、すぐにこうすればいい、こういう考え方は助けになるというのが、これまでのケースデータや蓄積からわかります。でも、だからと言って、ストレートにそれを目の前の相談者に伝えることはほとんどありません。アドバイス型のカウンセリングで、伝える場合もあるかもしれませんが、心理カウンセリングと言うのは、何もQ&Aをする時間ではないのです。「これにはこう」と特効薬のようなものを出されても、人の心はついてきません。そもそも心がそんな単純に言うことを聞かないから、今まさに悩んでいるのに、余計なアドバイスはますます「頭では分かるけれど、できない」を強めてしまうだけです。
冒頭にも書きましたが、「頭では分かるけれど、できない」状態は、シンプルに表現すると、ストレス状態です。このことをまず理解してください。ストレスです。あったほうがいいか、ないほうがいいか・・・ないほうがいいです。「頭では分かるけれど、できない」ものが減れば減るほど、自由で、解放感があります。車で言うなら、アクセルとブレーキを同時に押して、「ブレーキを離せば、進むのは分かるけれど、できない。」のような感じです。その状態が続いたほうがいいのか、よくないのか?目的地があるのに、アイドリング状態をし続けたい人がいますか?
このストレス状態は、他でもない自分がイライラします。頭では分かるけれど、できない項目が増えれば増えるほど、そして長引けば長引くほど、ストレス状態は高まってきます。
例えば、身近な例だと、こんな食生活をしていれば身体がやばくなるのは分かっているけれど、できない・・・とか、こんな仕事をしていたら、倫理的におかしいのは分かるけれど、正せないとか、このことは正直に人に話すべきだけれど、言えない・・・などなど。
もちろん、前提とした「〜すべき」の部分が間違っている場合もあるので、実行したからといって、本当に物事が変わり始めるかどうかはまた別の問題です。
「頭ではわかっているけれどできない。」このストレスはどう減らすのか?実行することです。そうすると、今度はまた、「それも頭ではわかっているけれどできない。」とほとんどの人がなると思います。もはや、どこまでも「頭ではわかっているけれど、できない。」が追ってくるような感じです。
なぜか?長期スパンで考えているからです。
実行すると言った瞬間に、既にいきなり目的地に到着することを考えているからです。そんなことができるわけがありません。できないことを考えるから、頭ではわかっているけれど、ちゃんと「できない」になります。
一気にやるのではなく、今日できることだけをやること。「頭ではわかっているけれどできない」ことを考える時に、1ヶ月や1年先のプランで考えると、間違いなく挫折しまう。1週間も長すぎです。今日です。今日だけ。寝る前までです。
旅人のマントを脱がせることを競ったイソップ物語の「北風と太陽」のお話は知っていますか?コートを脱ぐのに、冷たい風を吹かせて、コートを脱がせるのか、それとも太陽を照らして、暖かくしてコートを脱がせるのか・・・。
「頭ではわかってもできない」状態は北風状態です。自分が北風になって、自分の心は旅人です。自分が自分にとっても厳しくしている状態です。自分を奮いたたせ、責め立てています。つまり「早く目的を達成せよ!」です。そうすると、自分の心はますます、守りの姿勢を強めます。「できない」からです。変わらない自分にイライラし始めると、今度は何か強制的な手段を選んで、さらに自分の心を変えようと無理をするのです。
もし、「頭ではわかってもできない」状態がずっと続いているのなら、自分に厳しすぎ。目的地に向かって、途中のサービスエリアの休憩なしに、走り続けろと言っているようなものです。様々な情報や理想に振り回されて、自分の頭だけが前へ前へと行ってしまっています。その方法で、急げば急ぐほど、早く解決しようとすればするほど、逆効果です。
頭ではわかっているのにできないときは、更に頭で理解しようと頑張る時ではありません。自分が本当に何をしたいのか、目的を見直し、夢を書き出す時でもありません。そんなことはどうでもいいのです。見る時間感覚を変えます。1年後、こうなっていたいはどうでもいいんです。今日のこの1日、寝る前にできること、したほうがいいことだけをしていきます。
心が疲れている時に、変な自己啓発に騙されて、夢を持とう!など、逆算思考で考えようなど、そんなものは全部捨て去ってください。
もう自分をいつまでも叩き続けるのはやめましょう。背伸びし続けるのもやめましょう。かかとを地面に落としてください。そして、今から寝るまでの先たかだか10時間くらいだけを真剣に考えて、できることをしてみてください。
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