家族問題はコミュニケーション不足が原因

気持ちとの向き合い方

夫婦喧嘩が絶えない人、親子関係でわだかまりを抱えている人、家族関係の中で、いつもどこかギスギスした関係を持っている人は、「コミュニケーションが不足」していることが多いです。今回は、家族問題に繋がるコミュニケーション不足について、取り上げます。

コミュニケーションが「とれない」ということ

そもそも、家族なのに、なぜちゃんとした「コミュニケーション」をとらないのでしょうか。喧嘩の原因は、ほぼコミュニケーションにあると言って過言でないほど、コミュニケーションが、重要なカギを握っています。

コミュニケーションをとらない理由は、多くの場合、「とらない」のではなく、コミュニケーションが「とれない」状態になっていることです。家族の状態や、またその家族に対する「自分の気持ち」が円滑なコミュニケーションの邪魔をします。

問題が起きたことについて、振り返ってよく見てみます。すると、ちゃんとコミュニケーションさえとっていれば、何も問題にならなかったような些細なことで、口論になったり、喧嘩をしたり、傷ついたり、傷つけたりしたことがあるはずです。

それほど、コミュニケーションの結果がもたらす結果は大きいのに、コミュニケーションがしっかりととれないばかりに、問題を繰り返してしまいます。

コミュニケーション不足の本当の意味

「コミュニケーション不足によって、家族問題が度々引き起こされている」と言っても、あまりピンとこない人もいるかもしれません。もしかしたら、コミュニケーションはしっかりとっている、いや、自分はコミュニケーションをとりたくてたまらないけれど、相手が受け付けない、などと色々思うところもあるかもしれません。

ここでいうコミュニケーション不足というのは、自分が基準になって、「自分の中ではこう言った、ああ言った」などというのはあまり重要ではありません。それらに注目して議論すれば、喧嘩の当事者全員から、「それなり」の弁解が出てくるでしょう。

コミュニケーションの意味は、辞書で調べると、次のようになっています。

言語,身ぶり,画像などの物質的記号を媒介手段とした精神的交流のこと。語源はラテン語で「分かち合う」を意味する communicare。(ブリタニカ国際大百科事典より)

ここに書いてあるように、ただ単に、一方的に言葉を「送る」ことではなく、相手との「交流」があって、初めてコミュニケーションになるのです。ただ「言った」だけでは、「伝達」に過ぎません。

コミュニケーション自体がうまく成立しないのは、もしかしたら、自分の「言い方」かもしれません。

投げやりな言い方や、自分の要求が前面に出た強い口調、上から目線、呆れが入ったような口調、嫌味な言い方、言う時の態度や表情が原因かもしれません。

また、「言葉のはしょり」があって、相手に伝わらなかったのかもしれません。自分ではしっかりと意思疎通したと思っているにも関わらず、問題が度々起きるようでは、多くの場合、情報が漏れていて、相手に正確には伝わっていないことがよくあります。

コミュニケーション不足とは、会話をしたか、していないかということに留まりません。コミュニケーションの仕方、コミュニケーションに対する向き合い方や態度も含めて、コミュニケーションなのです。

自分の気持ちを隠さずには話す

では、なぜうまくコミュニケーションがうまくとれないのでしょうか。それは、実は、相手ではなく、「自分」側に問題があることがほとんどです。家族という本来は一番、身近で、本当は一番「話しやすい」相手であってほしいはずなのに、家族以外に話す時よりも、うまくコミュニケーションがとれないことも度々起きます。

そんな時、自分の気持ちの裏側には実は何が潜んでいるのかについて、スポットライトを当ててみます。

それは、プライドかもしれません。否定されるのかという不安であったり、家族にあれこれ言われず、自分の好き勝手にしたいという気持ちかもしれません。もしくは、どうせ言っても聞いてくれないという諦めであったり、弱みを見せたくないという見栄だったり、または自分が家族をバカにして、軽蔑しているかもしれません。このような様々なものが実は自分の心の中に隠れています。

自分の心に潜んでいる、円滑なコミュニケーションを妨げるものは何なのかということを、掘り出して考えてみます。そうすると、自分ではあまり意識していなかった様々な要因が見えてくるのです。

そして、もし、恐れや不安、自信のなさから、自分の気持ちを正直に話して、コミュニケーションをとることを避けているのなら、方法は一つ、勇気を持って、話してみることです。

家族とのコミュニケーションの改善は、今までと同じことをやり続けていても変わりません。相手がどれだけ変わったところで、問題は自分の心にあるモヤモヤとした思いですから、相手の変化はあまり関係ないのです。

自分が勇気を持って話し始める時、相手から反応が返ってきます。今までと同じかもしれないし、違う反応が返ってくるかもしれません。

どちらでもいいのです。

大切なことは、自分は、気持ちを正直に話して、真摯にコミュニケーションをとろうとしたということです。それによって、より深く家族と理解しあえたり、自分がやろうとしていたことを見直せるような議論ができたり、お互いのニーズを確認しあえるかもしれません。

もし、そうできたら、コミュニケーションによって、いかに色々なことがスムーズにシンプルになるのかということを実体験できますので、ますます、家族とのコミュニケーションを大切にしようという姿勢に変わっていきます。少しずつ、焦らず、引き続き、自分の心をオープンにしていけばいいのです。

逆に、自分の気持ちを正直に話しても、あまりコミュニケーションがうまくいかなかった場合は、それはそれで、今はまだ相手はそのことに向き合う余裕がないとか、タイミングが違うなどということが見えてきます。自分の会話の仕方をさらに工夫する必要があるかもしれません。いずれにせよ、自分がオープンになることで、相手のことも自分のことも、今まで以上に見ることができるようになるのです。

家族はチームです。家族は自分の一員であるはずです。自分のチームに対して、「正直に話せない」「心をオープンにできない」という事実そのものに問題が潜んでいます。

まずは、他の誰でもない「自分」から、家族をチームと見なして、自分の恐れや不安や、プライドなどから家族にオープンにしてこなかったことを少しずつ、オープンにして、コミュニケーションをとっていく・・・。変化は緩やかに起きてきます。