同窓会に行けるのに、行きたくない理由

気持ちとの向き合い方

学生時代の同窓会の案内が来ることがあります。何年も、何十年も経って、ちょっと何人か集まって、ご飯でも食べようなどというお誘いもあるかもしれません。

こういう時に、素直に「久しぶりに会いたい!」と思えますか?それとも、何か他の用事で、日程的に難しいわけでもないのに、気が進まないことはありますか?

今回は、どこか自分の中で「意図的に」会うのを避けていて、同窓会に行けるのに、何となく行きたくない理由について、心の状態を書いてきます。

自分と他人との間に存在する壁

同窓会の目的は、「人間交流」です。「久しぶりに会おう!」というのは、他の集会と違って、何かのテーマについて話したり、議論したりするのではなく、目的は、純粋に交流です。最近どう?などと、近況アップデートをして、お互いを知ろうとします。

人間交流の中でも、ある意味一番自由で、何でもありなのが、同窓会です。そういう同窓会に気が進まない時は、自分と他人との間に見えない壁が存在していて、邪魔をしています。しかも、それは、お互いに持っている壁ではなくて、自分が一方的に、自分の内側から勝手に作り出した壁です。

同窓会の目的は人間交流なので、同窓会ではやはり「話」をすることが求められます。「話」をするというのは、もちろんテーマにもよりますが、自分をオープンにすることです。

そして、同窓会の場合は、多かれ少なかれ「久しぶり」という要素が加わりますから、「どう日々を過ごしていたか?」というこれまでの自分の日々の歩みをオープンにする機会に恵まれます。

オープンにする機会なのに、これに対して、「どこか自分をさらけ出したくないなー」と思った時、心の壁を作ってしまうのです。

そう思ってしまうのは、劣等感であることが多いです。同窓生というのは、同じ学校や同じ年代など、共通の前提があります。それを悪く活用して、「他人と比較すること」に使えば、自分の中で、「あの人はこうなのに、自分はこうだ」などと、無意味な比較によって、劣等感を持ってしまうことになるのです。

こういう思いは壁をどんどん高くしていきます。その結果、同窓会自体には、あえて、行きたくないとか、興味がないなどと言って、人間交流を避け、自分の劣等感にダメージを受けるのを避けようとしてしまうのです。

人との比較をやめて自分の「今」に集中する

人との関係を避けようとする想いの正体が、自分の劣等感から作り上げた壁だとわかれば、後はこの壁を取り除いていくだけです。

劣等感の壁は「人と比較すること」で徐々にできていきます。全く異なった人間同士なのに、自分の基準で、いい悪いを作って、「あの人ははいい、自分は悪い」、「自分は優れている、あの人は劣っている」などと、考えてしまうことで見えない壁をどんどん高くしてしまうのです。

人間交流において、こういった壁があれば、人との関わりを自然な形で楽しむことができず、非常に窮屈です。

人と話しているのに、いつも「自分はどう見られているか」、「どう思われているのか」などと自分のことばっかり頭の片隅で考えてしまっているのです。

この比較の考えを捨て去ります。とはいえ、長年染み付いた考え方の癖はすぐにはとれません。少しずつ、様々なプロセスを経て、成長していけばいいだけです。焦らずに、「自分を不自由にする考え方は捨てたいな」という想いを持つことだけで、大丈夫です。

その上でスタートすることは、比較対象を「他人との比較」から、徐々に「自分との比較」に変えるだけです。これだけで、十分毎日が忙しくなります。

昨日よりも今日、自分は成長しているのか、今日の失敗から自分は学んだのか、今日関わった人の中で、自分は精一杯を尽くせたのか、自分がこれから向かっていきたいところと、今やっていることはつながっているのか、今日感謝をしたのか、人の悪口を言わなかったのか、人を大切にしたのか・・・などなど、自分が「自分との比較」を真剣に始めた時に、「他人との比較」から解き放たれていきます。というより、のんきに「他人との比較」などしている余裕などなくなるのです。

逆に、「自分との比較」を始めて成長していこうと決めないのであれば、いつまでも不毛な「他人との比較」をし続けて、劣等感いっぱいのつまらない日々になってしまいます。

他人からどう言われようが、他人がどう思おうが、自分は今、自分の人生を一生懸命生きている、自分は成長している、自分はたくさん失敗しながら、時に後退するようなことがあっても、前を向いて、歩み続けようとしている・・・・そういう自分をどこまでもOKとしてあげます。そして、ゆっくり成長の歩みを進めていく過程で、自分の変化にどんどん夢中になっていくことができるんです。

人と実際に会うことで劣等感や悪い思いが解消する

こうやって、自分が同窓会を避けていたのは、まず、他者との間に壁を作っていたこと知り、そして、その壁は多くの場合、劣等感が原因だったことを知り、そして、その劣等感は、「他人との比較」をやめることで取り除かれていくことを知り、こうやって、今まで見えていなかったことが見えるようになることで、少しずつ、変化を繰り返していきます。

そして、どこかのタイミングで、必ず同窓会に出てみることです。これによって、本当の変化が起きるからです。

同窓会に出なければ、「自分との比較」をし始め、たとえ人間関係の壁は低くできたとしても、まだ完全ではありません。

実際に、同窓会に行って、自分が人からどのように思われるのかなどを恐れていたような人間関係に、あえて、真正面から飛び込むことで、自分のイメージを現実世界にぶつけます。

そうすると、今までビクビクしていたのに、あの人は、自分のことにすごく興味を持ってくれたとか、褒めてくれたとか、感謝されたとか、この人のこんな話を聞けて励まされたとか、あの人と話すことで、こんな新しい発見や気づきがあった・・・など、自分の頭の中で想像していたこととは違う「意外性」を経験できるのです。これがブレークスルーのきっかけです。

劣等感が強いと、心の中で、勝手に「恐れ」や「不安」を抱いていますが、実はそれは正体のないものが殆どだったと気づけるのです。

人はみんな、本当は良い人間関係を持ちたいと心の底では思っていますし、人を大切にしたり、愛したり、励ましたりしたいのです。

実際に思っていたよりも、楽しい同窓会を過ごせることで、「意外性」を経験でき、そこから、実は、自分がビクビクしていただけだった、人は何も壁を作るほど怖いものではなかった、壁を作っていたのはただの自分の劣等感だけだったと本当に気付けて、その時初めて、ずっと持ち続けていた壁を取り外すことができるのです。

こうやって、壁を取り外せたら、またどんどん自然な自分、健全な自分に戻っていて、これからまた出会う人との関係でも、もっともっと味わい、楽しめるができるようになるんです。