【心理学】内観療法ー人への憎しみを抱いている時に
目次
内観療法とは何か?
内観療法とは、心理療法の一つで、実業家出身の吉本伊信氏が開発した自己探求の療法になります。
内観療法では、自分の内面と静かに向き合い、過去から現在までに特に深く関わった人間関係の中で、「自分がどのような在り方をしたか?」を調べていきます。
調べる内容は、①「してもらったこと」②「して返したこと」③「迷惑をかけたこと」の3つの観点です。
あえて「調べる」という表現を使っているように、ここでは何かを思う、感じるのではなく、事実としての出来事をしっかりと調べていきます。
私自身、特定の施設で内観療法をしたことはありません。これらは刑務所や少年院、精神科病院等で実施されています。日常生活からかけ離れた静かな場所で、1週間泊まり込みで実施する集中内観という手法をとることが多く、かなり本格的に長い時間をかけて自分と向き合う療法になります。
感謝できることに気づくこと
今回は、内観療法そのもののやり方はさておき、注目したいのが、①の「してもらったこと」と③の「迷惑をかけたこと」です。
なぜかというと、この2つは、考察を深めれば深めるほど、「感謝」を呼び起こしてくれる可能性が高いからです。「感謝」の気持ちを呼び起こすことができれば、それは憎しみを持っている感情への治療薬となってくれます。
憎くて憎くてたまらない人を前に、彼・彼女に「してもらったこと」をあえて思い返します。思い返したくない時は、まだ怒りが冷めていなく、内観するタイミングではないので、そのタイミングが来るまで、焦らずに待ってみてください。
「してもらった」出来事を調べ、事実として思い返そうとすると、目の前に起きた憎い出来事ばかりに囚われて、自分でもあまり気づいていなかった「してもらったこと」が必ず見つかるはずです。気持ちが伴っていなくても構いません。単に金銭的な支援であったり、物質的な援助であったり、気持ちは伴っていなかったかもしれませんが、何かしらの形で「してもらったこと」を一つでも思い出そうとします。
そして、「迷惑をかけたこと」も同じです。目の前の相手が憎かったり、相手がした罪を赦せない気持ちになっている時は、「自分は正しい。相手が間違っている。」この結論に陥りがちです。でも、すべて自分が正しいことも、すべて相手が間違っていることもありません。
よくよく考えれば、確かに自分も相手に「迷惑をかけたこと」が一つや二つ浮かび上がってきます。そして、「迷惑をかけたこと」をしっかり思い出すことができるほど、「自分もこんなことをしてしまったのだ。」と謙虚になることができ、その謙虚さが、相手に対して、「相手はそれも受け入れてくれたんだ。」と感謝の気持ちが芽生えてくるきっかけになってくれるのです。
一言でも「ありがとう」と言えることを見出せた時、相手を大切にできる
相手が憎くて憎くてたまらない時は、一度冷静になって、落ち着いた時を見計らって、少しでも相手に「感謝」できることを思い出そうとしてみることです。
この内観療法にある①「してもらったこと」と③「迷惑をかけたこと」を考えることで思い出しやすくなります。
憎い対象の相手に、一言でも「ありがとう」と言える側面を見出すと、ふと肩の荷が下りたような解放感を味わえます。
その時、メラメラと燃えていた憎悪がすっと軽くなり、もう一度、新しい見方で相手を見ることができるようになるのです。
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