【心理学】フォーカシングー心のもやもやと向き合う

2021/11/05心理・思想・聖書

今回は心理カウンセリングの手法の一つであるフォーカシングについて紹介します。

フォーカシングとは何か?

フォーカシングとは、「自分自身に向き合う」ことです。悩み、苦しみ、絶望感、やるせなさ、惨めさ・・・などを感じる時、自分の心が感じている「もやもやとした気持ち」に焦点を当てます。

痛みにフォーカス(集中)することを一切せずに、今できることを考えようとか、変化を起こすために何をするかなど、未来のことを考えることとはかなり異なる手法です。

フォーカシングでは、心の中に感じている「もやもやとした存在」をなかったことにしたり、見なかったことにしたりはせず、言葉通り「もやもや」していて、「よくわからない」けれど、「存在」することを認めます。

怒っている人、いつまでも人の悪口が止まらない人、人を責めたり、責められている人・・・これらの人は、必ず心の中につっかえとなっている「もやもや」が存在しています。

心のもやもやを明確にする

取り出したいけれど、この正体のわからない、自分を苦しめるものにイライラして、手っ取り早い方法として、目の前にいる人を攻撃したりするのです。怒っている人は、人にイライラしているように見えて、結局は自分にイライラしているのがほとんどです。

傷つけられたことがきっかけで、人を傷つけることもあります。そして、傷つけられた人は、また他の誰かを傷つけてしまいます。この連鎖が止まらないのは、本当に悲しいことです。

もやもやの正体を早く明確にすること、もやもやと早く向き合うことで、余計な妄想を呼び起こしたり、過去の嫌な記憶を呼び出したり、もやもやが心の中で大暴れして、更に自分を苦しめることを防ぐことができます。

時間が経てば消えるものもあれば、時間が経てば経つほど、変形して複雑になってしまうものもあるのです。

自分が本当は何に怒っているのか、何に悲しんでいるのか、何を恐れているのか、これらにスポットライトを当てる行為はある意味では、恐ろしいことです。問題が「これだ」とわかれば、その問題に直面せざるをえなくなります。それが怖くて避けているのです。

フォーカシングは怖くない

でも、実際には、何が問題かを明らかにすることが怖いのは錯覚です。以前、恐怖とはそれをするときまでにしか感じないと書きました。

フォーカシングでは、他の誰も、心の中に土足で踏み込んで、「あなたの問題はこれだ!」とか「あなたはここが悪い!」などとは言いません。フォーカシングは、自分のペースで感じるものです。

まずは、もやもやしたものが一体何なのかを感じる時間をとります。そして、もやもやをまるで「もう一人の自分(もしくは全く違う他者)」のように見立てて、何か話したいことがないかを聞いてみたり、何か言ってこないか様子を見たり、メッセージのようなものは伝わってこないか、心の中で静かに感じてみます。

心のもやもやのメッセージを受け取る

優しく包み込むようなイメージで語りかけることで、そのもやもやが語っているメッセージをなんとなく受け取ることができます。何かを調べたり、聞いたり、確認したりはしないで、全部心の中だけで起きるもの、感じるものをまずは受け取ります。

メッセージとして受け取るものは、もしかしたら、もやもやが「泣いている」かも知れません。何かに傷ついて、傷つけられて、そのことに悲しんでいるかもしれません。もしくは、寂しがっているかもしれません。

または、もやもやは「悟る」かもしれません。自分が何を解決しようとしていたのか、それをもやもやが教えてくれて、やるべきことがわかるかもしれません。

もしくは、もやもやと深く向き合おうとすればするほど、更にもやもやが深まり、自分が誰なのか、何に苦しんでいるのかがますます見えなくなってしまうかもしれません。

どんな変化が生まれても、その変化を受け入れ、そのまま感じることで、もやもやと向き合うことができます。

自分の心に何があるのか、何を感じているのか、深く向き合うことができるのは、この地球上で、自分だけです。自分しかやってあげることのできないことです。誰にも恥ずかしがることなく、遠慮することないことなく、何か心にひっかかることがあるなら、それが発しているメッセージを受け取ってあげてください。