【心理学】交流分析(2)ー対話分析:スムーズな会話をするためのポイント

2021/11/05心理・思想・聖書

今回は、スムーズな会話をするためのポイントについてです。夫婦ゲンカ、親子ゲンカなどのほとんどは会話のすれ違いが発展して喧嘩になることが多いです。

たとえば、こんな会話。
妻:「何時に帰ってくるの?」夫:「8時?なんで?なんかあるの?」妻:「ううん、ただ確認したかっただけ。」夫:「なんだよそれ」・・・。

「なんだよそれ」というその返答に「なんだよそれ」と言いたくなるかもしれません。素直に、聞かれたことに、答えれば全く問題ないことに、「変な憶測」を入れると会話は不自然ですね。

ここで、実際に、妻には裏の意図があったのか、それとも本当にただ帰宅時間だけを確認したかったのかはあまり重要ではありません。それよりも、取り上げたいのは、夫側が素直に返答できない点です。家族関係のいざこざはこういう小さなほころびから広がってきます。

ということで、今回は前回の交流分析に引き続き、交流分析の一つのテーマである対話分析について紹介しながら、スムーズな会話を実現するためのポイントについて書いていきます。

自我状態の種類P・A・Cとは?

まず紹介したいのが、対話分析では、人間には3つの自我状態(自分の中の傾向)があり、相手にも3つの自我状態を持っているということを大前提として考えます。

3つとは、Parent(親)からの頭文字のP、Adult(大人)からのA、Child(子供)のPです。それぞれどんな特徴かというと・・・

P…批判的な父親のような自分であったり、世話好きで思いやりのある母親のような自分
A…現実的・合理的で、冷静・論理的に判断する自分
C…自由な子供のような自分であったり、順応的で周囲に合わせようとする自分

(ここで、自分の親はこういう風じゃないとか、自分の子供は全然違うとか、そういう風に考えないでください。あくまで一人の人間の自我状態として、分類して、それぞれの要素を一般化して名付けているだけです。すべての人がこのすべての特徴を多かれ少なかれ持ち合わせています。)

自分も相手も、時と場面、状況に応じて、様々な状態の自分になります。たとえば「お祭りだー!思いっきり楽しもう!」とCの傾向になることもあれば、「受験が近い、勉強しなくては!」とAの傾向になったり、「あ、お年寄りだ。席を譲らないと!」とPの傾向になる・・・こういった感じです。一人の人間がいくつもの状態になることができるのです。

スムーズな会話の為には

そして、この3つの状態があると知った上で、スムーズな会話の状態を考えてみます。たとえば、「お祭りだー!思いっきり楽しもう!」とCの状態にある夫に対して、妻も、Cの状態で、「いいね!焼き鳥買おう!」となったら、会話はとってもスムーズですよね。でも、夫のCの状態に対して、妻が「お酒は飲まないでね。」とPの状態で会話をすると、会話は行き違いを起こしてしまいかねません。

つまり、「スムーズな会話」は、同じ自我状態で話される時に実現するんです。

急いでせかせかしている人に対して、「は~い、は~い」なんてのんきに対応していたら、人をイライラさせてしまいかねません。逆に、ワクワク・ルンルン気分の人に対して、「ああしろ!こうしろ!」なんて突然言ったら、一気にムードが冷えきちゃうかもしれません。

場を壊してしまったとか、気まずくなったとか、会話がちぐはぐで、かみ合わなかったとか・・・こういう経験を沢山持つ人は、相手が出している自我状態と違う状態で会話を続けている可能性が十分にあります。

相手の状態を理解した上での会話を心がけること

「自我状態が、相手と同じ状態で会話をするとスムーズな会話になりますよ!」と言うと、もしかしたら、「えっ?じゃあ何でも合わせないといけないの?」って思う人もいるかもしれません。もちろん、そんなことをする必要はありません。さっきの例でも、妻は夫にお祭りに行く代わりに、子供の面倒を見てもらいたいかもしれません。

そんな時は、夫の自我状態(たとえば、子供のようにワクワク楽しみにしている状態)ということをしっかり理解した上で、自分の意見や思いを夫の状態を配慮しながら伝えるのです。

スムーズな会話をするためには、まずは人には、大きく分けて3つの種類の状態があること、そして、同じ自我状態だと、会話がスムーズにいくということがわかって配慮することで、相手への話し方、言い方、言うタイミングも変わってきます。

夫に「どこへ行くの?」と冷静に聞かれたら(Aの状態)、「~へ行く」と冷静にAの状態で答えることがベストです。そこに、いちいち、「私の行動を管理しようとしているわけ?(批判的なPの状態)とか、「どこでもいいでしょ~行きたいところに行く~(Cの状態)」のような回答をしないように気をつけます。

同じ自我状態で話すということは慣れてきたらそんなに難しいことではありません。結局は「相手の気持ちになって話す」とか、「相手に聞かれたことに的確に答える」と言っているのと同じです。

こういうことを普段の家族との会話でも、少しずつ意識して始めると、会話がどんどんスムーズになってきます。会話がスムーズになると、余計なことでイライラしたり、変な喧嘩をもたらしたり、言い合いになることを避けられます。