【相談事例】父にお酒の問題がある。母と離婚してほしい。
【相談事例】
父は、お酒を飲むと乱暴な言動を繰り返す。特に母に対して、暴力を振るうことが多く、問題を繰り返してばかりの父が許せない。
これまで、父の乱暴を力づくで制して、母を守ってきた。今後、仕事の都合で同居ができなくなり、何とか母に父から離れてもらいたいと離婚するように頼んだ。母には今、離婚の意志はなく、このまま両親を残して家を出るのがとても不安。(20代 男性)
今回の相談は親子関係です。お酒の問題を抱えた父親から、母親を何とかして守りたいという必死な想いがひしひしと伝わってきました。
実際に、飲酒の問題で大変辛い思いをされ、心の葛藤が沢山あったと思います。父親が酔うと、暴力を振るうという大変深刻な状況の中、勇気を持って、カウンセリングに来てくれました。
目次
他人の問題は他人の問題
お酒の問題には、様々なものが背景にあり、お父さん自身もものすごく葛藤している中で、飲まざるを得ない状況に自分を追い込んでしまっています。問題を起こしかねないことをわかっていながら、コントロールがきかない状態になってしまっています。
この問題は、お父さん自身の問題なので、周りがどうこうすることはできません。叱責をしたり、批判したり、怒ったりすると、余計に攻撃的になったり、暴力がまた起きてしまいかねません。
今は、力づくで止めているということですが、たとえ、これからも家族と同居するにしても、四六時中、お父さんを見ているわけにはいきません。それに、まるで見張りをするかのような態度は、自責の念を強めさせ、お父さんの飲酒をさらに進めてしまうこともあります。なので、少し厳しい言い方ですが、まずは、「自分によって、父の飲酒をなんとかできる」という考えを捨てることです。
そして、もう一つ。お母さんが、問題を抱えたお父さんと、一緒に生活するのかしないのか・・・これを決めるのも、お母さん自身の選択です。親子の関係と、お母さんお父さんの夫婦関係は、また違う関係です。離婚するかしないか、これは夫婦間の課題であって、最終決定者は両親にあります。
自分の気持ちをお母さんに落ち着いて伝える
ただもちろん、お母さんを大切に思っていらっしゃて、自分が家を離れる上で、いても立ってもいられず、何とかしようという思いに駆られるのは自然なこと。
ここは、一度冷静になって、「離婚」という自分が出した結論ありきで、話を進めるのではなく、まずは、お母さんに、お父さんの暴力について気持ちを話し、「自分は心配だから、父から距離をおいた方がいいのではないか」ということを提案してみてください。今、お母さんに対して、できることはここまでです。
話し合いを受け入れるか受け入れないかもお母さんの決断です。もし、話し合いができて、その上で、お母さんがした決断は、それがどんなものであっても、尊重してあげることです。
もし離婚しないなら、何かあった時には、すぐ連絡が取り合えるようにしたり、身の危険を感じた時には、すぐに避難できるように、これからの対策を話し合うことは、まさに積極的に働きかけることができることです。お母さんにとっても、自分の決断が尊重された上で話し合いができるのは、大きな助けになります。
できることから始める
お父さんは、相手に身体的な暴力をふるうというかなり深刻な状況ですから、お母さんがやっぱり家に残る決断をされた場合は、お母さんともご一緒に、お酒の問題について深く学ぶこと、情報を集めたり、第3者機関に頼ること、そして万一の時には、別居でも家出でも、どんな形になろうが自分の身を必ず守ることを決めていきます。
他人を変えようとすることはできません。でも、できることは沢山あります。自分が働きかけることで、周りに良い影響を与えたり、回復に向かって進み出すきっかけを作ることができます。
まずは「離婚するように」という思いを一旦全て脇に置いて、先日起きたことと、自分の心配な気持ち、そしてお母さんがこれからどうしていきたいのかについて、じっくりとお話をする機会を持ってみてください。
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