【相談事例】不摂生でだらしのない夫にうんざり、イライラに憎しみも。

2021/08/18夫婦関係, 想いの箱(悩み相談)

【相談内容】

夫がテレビを見ながらだただたとゲームをして、身体に悪そうなものばっかり食べている。片付けもしないし、だらしがない。見ていてイライラどころか憎悪すら湧いてくる。(30代 女性)

今回のケースは、夫の行動に不愉快になり、怒ったり、憎んだりする自分の気持ちのやり場をどこへ持っていけばいいのかという相談です。

一歩下がって、自分と相手を客観視して全体を見る

自分に直接的な被害が何もなくても(例えば、暴力や暴言など)、相手の行動に不快感を覚えて、無性にイライラしたり、どうにもならない相手に対して、何とか動かそうと言葉や態度を使って、自分の気持ちを伝えようすることがあります。

そのことで、もし相手が、素直に要求を受け入れて、行動を改めたとしたら、そもそも憎悪感などは湧いてきません。それどころか、私のおかげで、行動が改まったと満足感を抱くかもしれません。

イライラしたり、強い憎しみを感じているのは、自分の中に「あるべき姿」の理想像を持っていて、それが思いどおりにならないので腹を立てています。「人をコントロールすることはできない」と理屈ではわかっていても、完全には受け入れ難く、何とかできないのか、何とかしてくれないのかという思いがこみ上げてきて、「自分の中のあるべき論」と「現実」に葛藤している状態です。

目の前にいる夫を「私」と「あなた」の関係だけで見ると、確かに相手に憎悪感まで抱くほど、イライラした気持ちになってしまいます。

でも、少し視点を変えて、一度その場面を第3者の立場から見ようとしてみると、実は夫は何にも気にせず、特に人に迷惑をかけることもなく、ただゲームと食べ物を楽しんでいるだけで、妻がその状況に勝手にメラメラと怒りを燃やしているという構図にも見えます。

イライラして、憎しみが止まらない時、一旦自分が見ている夫だけに注目するのではなくて、少し距離をとって、自分の立ち位置を変え、自分と夫の二人の行動を冷静に見てみることで、ヒートアップしている自分に気づけます。

怒りと憎悪は危険!自分を破滅させてしまいかねないということ

確かに、夫にはもっと時間を効果的に使って欲しかったり、ヘルシーな食事をしてもらいたかったり、食べ終わったら片付けて、まともに過ごしてほしいという思いそのものは、何も悪いことではありません。問題なのは、それが現実にならないことに対して、激しい怒りと憎悪を抱き、自分自身を苦しめてしまっていることです。

怒りや憎悪は時にとてつもない行動につながります。言葉で相手に伝わらないのなら、壁を蹴ったり、物を投げつけたりして、自分の怒りがどれくらい大きいものであるか、相手に誇示しようとするかもしれません。もしくは、しばらく家を出て、帰ってこないかもしれません。もしくは相手を変化させることのできない自分が無価値に思え、自分を傷つけようとするかもしれません。

こうした衝動的で、極端な行動に出ることによって、夫に対する怒りの本気度をアピールしようとします。ただアピールしたところで、変化を要求する相手は、自分ではなく夫ですから、妻の行動によって、変わるか変わらないかの選択は夫の手の中にあり、改善するなどの保証は全くありません。

むしろ、強硬的な手段で、自分の怒りを相手に分からせようとすることは、相手にも強い不快感を植え付け、結果として、望んでもいなかった大きな喧嘩や衝突に発展してしまうかもしれません。そうなったら、黙ってゲームを見ていてくれた時の方が良かったなんて思う羽目になってしまいます

問題は、夫の様子によって、自分の心の平安まで壊してしまっていることです。自らの基準、期待値、あるべき論に振り回されて、結局は自分を破壊しています。それが分かると、夫が自分を苦しめていたように見えて、結局問題は、全部自分が作り出し、解決できないことを自分で問題解決をしようとしていたと気づくのです。

人は他人をどうこうしようとして、簡単に自分を見失ってしまっています。逆に、自分の気持ちの安定を維持することは、それなりの努力が必要なものです。他の家族が好きでしている態度など、本来はあまり構ってはいられないほど、自分の心の平安を維持するのは努力が必要なのです。

ありたい関係を決断し、まずは自分だけで変化を起こす

家族をどうこうしようとしてイライラした時は、まずは自分が幸せになることを第一にすることです。イライラしてしまっている自分自身にもっと集中します。自分と向き合ったら、もっとイライラしそうだからと言って逃げてしまっては、いつまでも変わりません。

次に、夫の態度にこれだけ苛立つのだから、実は夫が自分にとって、とてつもなく重要な人物であることを認めます。

そして、状況に振り回されて、流されて、苛立つ代わりに、自分の目的を明らかにします。夫が変わってほしいとか、夫の問題を指摘しながら、自分が幸せになれないことを肯定する代わりに、「夫と幸せになる。」ことが目的であるならば、素直にそれを認め、決断し、夫への攻撃をやめていくことです。(逆に、もし本当に夫と幸せになりたくないのなら、単に自分がイライラしたくないことが最も最重要であって、夫など本当はどうでもいいことを認めることです。)

「夫と幸せになること。」は「夫が自分の思い通りになること。」ではありません。価値観も違う、食べ物も違う、趣味も態度も違うかもしれない夫だけれど、でも、今この人が与えられ、共に生きているわけだから、「私はこの夫を信じる」という態度も決断には必要です。決断をすることで、目的を達成するための行動をとり、夫への接し方も自ずとわかり、夫にかけるべき言葉も、夫の態度を見た時の夫への気持ちの反応も、少しずつ変わってきます。

人に対する憎しみを抱くこと、人にイライラすることは、自分が自己嫌悪に陥り、自分にイライラすることと同じです。夫の状況がすぐに変わらない中で、まずは、自分の目的を明らかにし、決断します。そして、その目的に合わせて、自分の行動を変えることは、自分を破壊的な状況に陥れることから救うことができます。幸いなことに、自分を変えるための多くの部分は、実は夫なしで実現可能なことなのです。