【相談事例】楽しいことがなくなっちゃった

2021/08/12自分自身, 想いの箱(悩み相談)

うつと診察された。息子は引きこもり。若い頃はがむしゃらに頑張ってきた。でも、息子の引きこもり状態で、関係も良くなく、やってきたことは全部否定されたようで、自分は一体何をやってきたんだろうと後悔ばかり。それでも、この家族と頑張って生きていくしかないと思っている。毎日、楽しいことはなくなっちゃった。毎日を楽しめない。(60代 女性)

楽しいことがなくなっちゃった。

それは辛いですよね。毎日、朝起きて、今日はこれをしよう、あれをしようと考えて、考えたことに、ちゃんと気持ちがのってくると人は、楽しくなりますけれど、気持ちが落ち込んでしまうと、どうでもよく感じてしまうことがあります。

以前は楽しいと思っていたことが、どうでもよくなったり、以前は何も思わず普通にできたことが、本当にやるせない気持ちになったりすることもあります。

「楽しい」と感じるのは、自分の感情であって、前と同じことをしていても、楽しいと感じることもあれば、そう感じられず、むしろつまらない、苦痛に感じてしまうことさえあるんです。

人は絶えず、周りの環境に影響を受けています。

目の前の現実に納得感がないと、このまま私が過ごしていても、何かいいことがあるんだろうか、何か良い変化につながるんだろうか・・・って不安になってしまいます。

結局、「楽しいことがなくなっちゃった。」というのは、未来は暗いと思っているからなんですね。楽しいことは、確かにあるんだけど、それを楽しいとすら感じられない。どこか自分の感情が、「楽しんでどうなるっていうの?」と抵抗しているかもしれません。

 

誰だって、これから進む毎日は暗いと分かっていたら、そこへ向かう気は失せてしまいます。そうすると、本当に生きているのも嫌になってきたりしてひどく落ち込んでしまうんです。

今、大切な息子さんが引きこもりという現実を目の前に見ると、これからどうなってしまうのだろう・・・いつまでこの状況が続いてしまうのだろう・・・という気持ちになって、そうするとこの先に明るい兆しが見えず、どんどん気持ちがずっしりと落ち込んでしまいます。

自分が一番望んでいない状況のこととか、自分では変えられない他人のこととか、そういうことに気持ちが向けば向くほど(考えれば考えるほど)、当然、気持ちはどっしり重くなってくるんですね。

すると、もちろん楽しいことなんて目に入りません。毎日、毎日、わずかな変化はあっても、楽しいことに気づけないんです。楽しいことって本当はある・ないじゃなくて、楽しいと気づく・気づかないだけだと思います。

そして、楽しいことがなくなっちゃったと思う時は、まずは「楽しくなきゃいけないと思うことをやめてみること」です。楽しくなきゃいけないことなんてないんですね。

楽しいか、楽しくないかなんて、所詮、自分のその時の気分でどうにでも変わることですから。些細な買い物ですら、時にめちゃくちゃ楽しいものになることもあるし、もう、他の誰かに行ってもらいたいほど、苦痛なものにだってなるんです。

相談者さんはすごく真面目で頑張り屋なので、こんな自分じゃダメ!って必死になって、頑張ってきたと思います。必死になって、少しでも楽しいことを見つけなきゃ・・・と気負ってしまって、それが今度はまた苦痛になってしまっているかもしれません。まずは、うまくいかないこともあったかもしれないけれど、それでも十分頑張って、今日まで生きていらしたんだと思いますよ。自分を認めて、労ってあげてくださいね。

問題に注目しすぎると、「現実」と「楽しいこと」の差が大きく広がってしまいます。そうすると、なかなか重い腰が上がらなくなります。結局、この差はどこを見ているかだけなんです。

問題を抱えながらも、昨日よりも今日の成長に注目したり、日常生活の中で少しでも改善できること(例えば、掃除とか、勉強、趣味など)に注目し始めたり・・・そんな風に自分が見るところを変えると、「現実」と「楽しいこと」の差はまた縮まったりします。

だから、当てにならないんですね。何が楽しくて、何が楽しくないかなんて。
自分が見る視点でコロコロ変わったりしますから。

これまで十分頑張ってきたのですから、先の未来のことに注目しすぎるのをやめて、今日1日の中で、自分が小さな目標を作って、それができたらもうオッケーとする、別に楽しくなくたってよしとする、そして、他の人(息子)が変わろうとしない限り実現しないことは、手から離してみることができるといいですね。

意識を変えようとするのではなくて、集中するところ、注目するところを「問題」から別のところに移す・・・そうすると、どんどん問題に囚われた自分から離れられるようになる・・・というより離れざるを得なくなってきますよ。

そうやって日々を送っていく中で、現実に対する見方が正しい方向に戻っていて、だんだんと気持ちが軽くなっていくんです。

なぜなら、日々の歩みの中で、暗いばかりではない未来を見始めるからです。少しずつ、慌てずに、急がずに、「今日は楽しくなくたっていい。でも、わざわざ暗いところを見にはいかない」を心がけて、過ごしてみてくださいね。

応援しています。