交流分析で読み解く「ストローク」|依存しない人間関係をつくる心理学
交流分析は、対人関係にトラブルを抱える人のパーソナリティ(個性、心理状態、考え方など)に着目し、他者とどのように関わっているのかを分析しながら、
個人の成長や変化を促すことを目的とした心理学です。
今回は、交流分析を構成する要素の一つ「ストローク」について紹介したいと思います。
【心理学】交流分析ー人生態度「私もあなたもOK」自己肯定・他者肯定
目次
ストロークとは何?
ストロークとは、他人の存在を認め、そのことを言動で表すことを指します。
例えば、目の前に店員さんがいます。
この定員さんの対応に満足して、思わず笑顔になって「ありがとう」と伝えたとします。
この時、ストロークが発生しているんですね。
目の前にいる「店員さん」という存在を認め、その認識が行動として表れているからです。
逆に、今度はこの店員さんに対してクレームをつけ、怒鳴ったとします。
この時も、店員さんの存在があってこそ、怒鳴っているわけで、
何も壁に対して怒っているわけではありません。
この場合も、同じくストロークが発生しています。
このようにストロークは、プラスストロークとマイナスストロークがあります。
| プラスストローク | マイナスストローク | |
| 身体の動作による表現 | ・手をつなぐ、なでる、抱きしめる | ・殴る、蹴る、叩く、ぶつかる |
| 言葉による表現 | ・励ます、褒める、慰める、感謝する | ・悪口を言う、けなす、罵倒する |
| 非言語による表現 | ・うなずく、ほほ笑む、見守る | ・見下す、にらむ、軽蔑する |
当然、人はマイナスストロークよりも、プラスストロークを欲しいと感じます。
ただ、プラスであれ、マイナスであれ、ストロークというのは、「人の存在」を認めているから起きるもの。
その意味で、ストロークは誰にとっても、生きていく上で欠かせないものなんです。
このストロークそのものが何も与えられない状態になると、
たとえマイナスストロークであっても欲しくなり、悪循環に陥ってしまうことがあります。
夫に依存する妻、妻に依存する夫
家族関係の中で、夫が妻に怒鳴る、妻が夫を怒鳴るなどというのは、
マイナスストロークが働いています。
この状態は、人間関係をこじらせ、夫婦関係を破綻へと向かわせるものです。
その中には、繰り返し起こるマイナスストロークによって、
どちらかが完全に拒否反応を示し、心を閉ざしてしまい、
相手に無関心になることがあります。
これは自己防衛の一つです。
もうこれ以上、傷つきたくないという思いや、
何かした(言った)ところでどうにもならないから、
罵られても、罵り返さずという態度をとることがあります。
何かしらの問題を抱えている夫(妻)が、相手を罵倒するとき、
妻の対応によっては、ますます罵倒がひどくなったり、
場合によってはひどい暴力などにもつながりかねません。
ストロークが人間にとって必要不可欠である以上、
「怒っているのに相手が反応しない」という事実に、相手は耐えられず、
どこまでもマイナスストロークがエスカレートしてしまう場合もあるのです。
ただし、だからと言って、相手のマイナスストロークに応じ続けていれば、
ますますマイナスストロークが日常的なものになってしまい、
悪循環が繰り返されてしまいます。
豊かな交流を築くストローク
豊かな人間関係を作るためには、
人との間に、「自分」をどこまでオープンにし、どこからはクローズにするのか、
を明確に持っておく必要があります。
また、人間関係の中で、人が与えてくれたものを、
素直に受け取り、自分が与えられるものを、惜しまず与える
ということも大切です。つまり、
➀与える
➁謙遜しない
➂我慢しない
④はっきり断る
これらのストロークは非常に大切で、豊かな人間関係を作るのに役立ちます。
➀与えるとは、自分ができることはする、
義務を果たす、人に親切をする、協力する、奉仕するなどなどです。
➁謙遜しないというのは、相手から言われたこと、褒められたこと、
与えられたものを素直に受け取ることです。
謙遜と謙虚の違いとは?無駄な 「いやいや…」 をやめて人間関係をスムーズにする方法
過度な謙遜は、相手が与えてくれたものを拒絶するストロークになりかねず、
結果として関係性を損なうこともあります。
➂「我慢しない」④「はっきり断る」というのは、
自分の境界線や限度をきちんと持つということです。
他人の問題に過剰に介入せず、自分は自分の人生を歩む。
そうすることで、無理な気遣いや、
「こんなにしてあげたのに」という不満から生じる衝突を避けることができますよ。
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