【本の紹介】バウンダリーズ境界線ー地引網出版

心理・思考

心に葛藤を感じていることは、想いの箱(メッセージ)から、お送りください。お待ちしています☆

 

今回オススメする本は「バウンダリーズ境界線(地引網出版/ヘンリー・クラウド、ジョンタウンゼント著)」という本です。

この本は、共依存について非常にわかりやすく書かれています。著者は心理学者です。聖書の引用がありますが、宗教は関係なく、キリスト教に馴染みがなくても、問題なく読めます。

特に、アルコール依存症、引きこもり、DVなど、家庭に深刻な問題を抱えている人が、問題を抱えた当事者とどう向き合うべきなのかについて悩んでいたら、今まで見えていなかった新しい視点に気づかされると思います。

本書のテーマは以下のようなものです。

人は、愛に満ち献身的であろうとするばかりに、自分の限界を忘れてしまうことがよくあります。あなたも次のように思ったことはありませんか?

*限度を保ちつつ、なお愛に満ちた人であることは可能だろうか?
*私の時間、愛、エネルギーそしてお金を欲しがる人に対して、どう答えたらいいだろうか?
*境界線を引こうとするとき、罪悪感を覚えるのはなぜだろうか?

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境界線(バウンダリー)とは、個人的な所有物を囲う地境のことで、あなたがどういう人間であり、どういう人間ではないのかを定義します。この境界線はあなたの生活全般に関わってきます。

周りの人に「いい人」であることをやめられず、なかなかNoと言えずになんでも引き受けてしまうこと、どう考えても夫や子供たちの態度は行き過ぎているにも関わらず、「自分さえ我慢すれば」と、許し難い状況に身をおくことを許可し続け、負のループをいつまでも繰り返し、疲れ切っている人、表面的には仲が良いように見えるが、様々な人の課題や心配を抱え込んで、色々なことに気が散って、本来の自分の課題になかなか手がつけない人・・・このような人が、(目に見えない)境界線を引いて、どのように、「自分」を保ち、「他人」と関わっていくかを詳しく解説している本です。

この本は最初第1章で、シェリーという主人公(35歳女性で子供2人、夫と暮らすワーキングマザー)が、境界線を持たないあまりに、朝起きてから、夜寝るまで、どれだけ色々なことに翻弄されて、疲れ切っているかをドラマチックに表現しています。そして、本の最終章16章では、今度は最初の章に出てきた同じシェリーが境界線を一通り学び、数ヶ月間実践し続け、自身の生活をどう激変させたかが、また1日の流れに沿ってドラマを描いています。最初の数ページは、アマゾから、試し読みができますので、自分の生活にも当てはまるところがあるか、覗いてみてください。

このシェリーの行動からは、具体的な例が提示されているので、境界線の見方が非常にわかりやすくなっています。難しい学術書的な書籍として捉えるよりも、自分もシェリーのように、この本を活用して、境界線を持ち始め、より良い人間関係、より良い毎日を作っていくためのまさに実践の書籍として有効活用ができると思います。(ちなみに結構分厚い本です。翻訳本ですが、ページ数は、全部で505ページあります。)

以下、本書からの抜粋です。参考にしてみてください。

より良い境界線を築くためには、限度に関する次の二つの側面が特に重要です。一つは他者に限度を設けることです。これは、境界線について語るとき一番よく言われる要素です。現実には他者に限度を設けるという言い方は正しくありません。それはできないことです。私たちにできるのは、良くない行いをする人たちに自分自身をさらさないよう限度を設けることです。私たちには彼らを変えたり、彼らのふるまいを正しくすることはできません。(P66)

操作的な人は自分の中に他者を支配したいという欲求があることを認めません。自分の自己中心性を棚上げします。(P88)

支配的で無反応な人たちは、自分から視線を移して物事を見ることがなかなかできません。自分の悩みの責任は他人にあると思い込み、面倒を見てくれそうな人を探すのです。彼らは境界線の曖昧な人のもとに引き寄せられます。そのような人たちは人間関係において自然と多くの責任を背負い込み、それについて文句を言わないからです。ちょうどお馴染みの人間模様ジョークのようです。「面倒見のいい世話焼きの人が、支配的で無神経な人と出会ったらどうなるでしょう?答えは結婚する!」(P94)

文章の量も多く、一文一文が深いので、さらっと読まずにじっくり、何度か吟味しながら読むのがオススメです。ご興味ありましたら、ぜひ読んでみてください。

(本をクリックすると、Amazonの画面に飛びます。)

こころの栄養とは?
こころの栄養のメインテーマ:人間関係の境界線について