家族にイライラしてしまう本当の原因―「こうあるべき」に縛られていませんか?

人間関係と境界線

「○○はこうであるべき」が生む苦しさ

家族関係で悩んでいる人の話を聞いていると、よく出てくるのが
「○○(相手)はこうであるべきだと思う」という言葉です。

妻はこうであるべき。
息子はこうであるべき。
親はこうであるべき。

もちろん、最初から「こうであるべき」と明確に言葉にする人はほとんどいません。
その代わりに出てくるのは、
「こんなことをされた」「こんなに傷ついた」「あれはおかしい」「ひどすぎる」
など、相手への批判や不満の形をとった感情です。

そして多くの場合、
「相手との境界線を引く必要がある」と感じてはいても、
その「批判」や「怒り」そのものが、
すでに境界線を越えてしまっていることに気づいていません。

境界線とは「自分は自分。他人は他人」と認めること

境界線とは、「自分は自分。他人は他人」
とシンプルに認めること。

たとえ自分がどんなに不快に感じても、
相手には“相手の自由”があることを認める。
この一見シンプルなことが、実はとても難しいんです。

なぜ難しいのか。
その背景には次のような理由があります。

① 自分が自分を幸せにする力が弱いこと
② 他人に依存していること
③ 自己価値が低いこと
④ 自分の目標や夢が明確でないこと

自分のことに取り組むことを放棄し、
視点をいつも他人に向けてしまうと、
人はいつまでも“みじめで不幸な立ち位置”から抜け出せません。

境界線を引くために、まず「自分ごと」に戻る

①は、自分で自分を幸せにできないので、
他人に「いい気持ちにさせてもらう」ことを望む状態です。
他人が思い通りに動くと気分が良く、そうでないと気分が悪い。
そんな➁の依存にも続く、自己中心的な思いがあります。

②は、自分の人生を他人の人生と混同してしまっている状態です。
「私はあなたなしには幸せになれない」と思い込んでいる。
母が娘に依存していたり、妻が夫に依存していたり。
精神的な自立ができていない状態を指します。

③は、自責傾向が強く、自分を大切にできないタイプです。
「自分なんて…」と思いやすく、
他人のちょっとした態度に傷つき、自信を失い、
過剰に反応してしまう傾向があります。

④は、自分の人生の軸が定まっていない状態。
夢や目標がないと、他人事に意識を向けやすくなります。
噂話やどうでもいいニュースを追いかけたりして、
“自分の人生の主人公”であることを避けてしまうのです。

人は人。変えようとするほど、苦しくなります。
他人の選択も行動も、他人のもの。

私たちが本当に取り組むべきなのは、
①〜④の「自分ごと」に気づき、それに向き合うことです。

それを少しずつでも進めていくと、
他人の言動が以前ほど気にならなくなり、
毎日が静かに、自分らしく満たされていくのを感じられるようになりますよ。

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