境界線の引き方, 気持ちとの向き合い方

家族に対して「嫌なことは嫌」とはっきり言うことはとても大切です。特に夫婦間、親子間というのは、近い関係だからこそ、境界線が曖昧になりやすい関係です。

家族に対して、「嫌なことは嫌」とはっきり言えないあなたは、どこか自分の正直な気持ちを隠してしまっているかもしれません。家族関係であれ、時に、はっきりと断ること、勇気を持って気持ちを伝えることはとても大切なことです。まずは、そもそもなぜ、「嫌なことは嫌」と言えないのか、その理由を次の3つの視点から考えていきたいと思います。

1、嫌と言ってはいけないと思い込んでいるケース

真面目な人、優等生タイプ、よくできる奥さん、旦那さんのパターンに多いです。そもそも、相手の要望に対し、嫌なんていうことが家庭の中で許されるとは全然思っていないんですね。嫌という選択肢が最初からないんです。一見「いい人」のように見えますが、これでは、一方の過剰な負担によって成り立つ不健全な関係性になりかねません。

真面目さは大切ですが、嫌と言ってはいけないと思い込むほどの真面目さは、自分の負担を過大にし、心身の健康を損ねます。

境界線の引き方, 気持ちとの向き合い方

境界線というのは、どこまでが自分の責任で、どこまでが他人の責任なのかという”目に見えない線引き”です。この境界線が不明確になっている結果、本来入るべきではない他人の領域に踏み込んだり、本来入れるべきではない自分の領域に他人を招いたりすると人間関係の衝突が起きやすくなります。

とはいえ、境界線を持つということに、ネガティブなイメージや、何か違和感を感じていらっしゃる方もいるかとと思います。そもそも境界線を持つことにリスクはないのか?という恐れに向き合うために、境界線を持つリスクについて3つの視点から書いていきます。

リスク1:仲間を失うのではないのか

境界線を持つということは、「No」と言うべきことに、「No」を言うことです。健全でない友人関係を拒否します。図々しい人であったり、相手の都合を全く考慮せず、押しかけてくる依頼に対しても、そのまま受け入れたりはしません。境界線を持ち始めることによって、今まで開けっ放しで、誰でも入り放題にしていた扉をしっかり管理し、時に厳重に施錠し始めます。

「No」ということで、友人や同僚は嫌な ...

境界線の引き方, 気持ちとの向き合い方

「自己都合の要求ばっかり主張してくる人」にははっきりNoと言います。

たとえば・・・

■しつこくセックスを強要してくる妻・・・
■車を持っているという理由だけで、子供の送迎を頼んでくる同世代のお母さん・・・
■親の仕送りを当てにして、お金を請求し続ける子供・・・

彼らは、境界線が曖昧になっています。その結果、

「私のものは私のもの。あなたのものも私のもの。」

という状態が起きてしまっています。

もし、あなたが妻に合わせ、友達を車に乗せてあげて、子供にお金を補充し続けているのなら、「いい人」ではなくて、「使われる人」の可能性が高いです。

もし、「使われる人」になり続けると、要求ばっかりしてくる相手はどうなっていくかというと、

もっと主張

してきます。際限なくです。

図々しい人はどこまででも図々しいし、自分の要求を是が非でも通そうとする人は、し続けます。だからこそ、しっかり境界線を持つことが必要なんです。

これくらい・・・と思ったら、最後 ...

境界線の引き方, 気持ちとの向き合い方

人間関係の中で、

「入り込んではいけないラインに踏み込んでしまうこと」

これが、境界線の侵入です。

どこまでが自分で、どこまでが相手なのかという境界線がうまく機能していない時、人間関係のトラブルが起きやすくなります。

たとえば、
「あなたのためを思って言うけれど・・・」
と言う表現。

この後に続くのは、「境界線の侵入」である場合が多いです。

というのも、この表現が使われるのは、本人のしていることや本人の意志と反対の主張を伝えるからです。

家族の誰かに、

「あなたのためを思って言うけれど・・・」

と言いたくなった時は、決して悪気はなくても、相手の境界線に入り込もうとしているサインです。

逆に、

「あなたのためを思って言うけれど・・・」

と言われた時に、何も考えずに無防備に受けてしまうと、相手を自分の境界線に入れてしまう可能性があります。

人間関係の衝突は、相手の境界線に入り込む時、また相手を自分の境界線にいれてし ...

境界線の引き方, 気持ちとの向き合い方

正直な気持ちを伝えると、キレる家族への対処法は、

反論しない

です。

つまり、キレる相手にキレ返さない・・・これだけです。

もちろん、どうしても伝えなくてはいけないこともあるでしょうから、あくまでも、一時的にです。

反論しないことが難しい人は、「キレていることは相手の選択」となかなか考えられないからです。相手の怒りにずけずけと入ってしまうのは、境界線がうまく機能していません。

そもそも怒りっていうのは、結構エネルギーが必要なんですね。人は怒り続けることができないんです。なぜなら、そうしていると疲れるんですね。泣き続けること、喜び続けることができないのも同じです。ずっと感情をマックスにしていたら、とっても疲れてしまいます。

相手がキレている時には、まともな会話もできません。だから、無理やり会話を進めようとするのも、ナンセンスです。

相手にキレられたら、その瞬間、確かに恐れや不安を感じたり、怒りが湧いてきたりすることがあるかもしれませんが、自分の瞬間湧いてくる感情には流されず、相手のキレて ...

境界線の引き方, 気持ちとの向き合い方

こころの栄養では、「境界線」の話をよくします。

境界線の基本は、次の2つ。

1)他人の領域に入らないこと
2)自分の領域に他人を入れさせないこと

です。

1)は、他人の境界線、他人の選択、他人の行動、他人の人格に入り込まない・・・つまり人を変えようとしないことで、2)は自分の選択、自分の行動、自分の人格に対して、人を受け入れない・・・つまり人に流されないことです。

人間関係の問題のほとんどは、他人の領域に入り込みすぎか、つまり変えられないものを変えようとしているか、自分の領域に他人を入れ込みすぎ、つまり自分を他人に明け渡してしまっていることで生じます。

だから、こころの境界線は、とても大切なんです。

今回は、2)について見ていきたいと思います。

自分の境界線に他人を入れさせない方法は、

スルー力

を高めることです。

でも、これはすごく誤解されがちで、

スルー=無視ではない

です。

家族の中に、アルコール依存 ...

境界線の引き方, 気持ちとの向き合い方

シリーズの最終回です。

「私さえ我慢すれば」の思いを捨てること①・・・「自分になっていくこと」について
「私さえ我慢すれば」の思いを捨てること②・・・「自分の万能性を否定すること」について

「私さえ我慢すれば」の思いを捨てること①の記事で、

人が脱いだもの、
人が食べたもの、
人がやるべき仕事、

本当は、心がついてきていないのに、
「私さえ我慢すれば」でやっていませんか?

本来守るべき、自分自身の境界線を放棄してしまうことは、
相手を無防備に、自分の中に受け入れることを意味します。

これは、愛でも思いやりでもないんですね。

どちらかというと、相手の境界線をも崩すお手伝いをしてしまうようなことなんです。
相手も本当は入ってきちゃいけないはずのあなたの領域に知らず知らずのうちに入りこんじゃうんですね。
ただ、これは別のトピックになりますので、また次の記事で書いていきたいと思います。

と書きました。

今回は、ここで書いた「別 ...

境界線の引き方, 気持ちとの向き合い方

前回のテーマの続きです。

「私さえ我慢すれば」の思いを捨てていくことは、自分の限界であったり、
自分の境界線をちゃんと守ることにつながります。

「私さえ我慢すれば」に続く言葉は、やはり、

できる

なんですね。

そして、この「できる」という言葉はとても肯定的で、可能性に溢れているような言葉に見えて、
実は、考え方によっては、危険な香りがする言葉でもあるんです。

というのも、

自分自身の万能性

を認めることになるからです。

自分自身が万能であると認識することは、心にとっては、
とても重いです。

「万能ではないのに、万能だと思う」
と言うよりも、
「(人は誰でも)万能にはなれないのに、万能であらなくてはいけない」
と思うことが、とっても重いんですね。

自分さえなんとかすれば、
自分さえ努力すれば、

できる

うまく回っていく

という思いの中には、自分への万能性を追求さ ...

境界線の引き方, 気持ちとの向き合い方

「私さえ我慢すれば」という思いを抱えている方へ。
今回は同じテーマで、3つに分けて書いていこうと思います。

まず1回目は、「私さえ我慢すれば」の思いをちゃんと捨てることで、自分になっていくということについてです。

 

「私さえ我慢すれば」の思いは、心をとっても重たくします。なぜなら、私さえ我慢すればの後に続く言葉は大抵、「できる」なんですね。

私さえ我慢すれば、何かができる、何かがうまくいく・・・んですね。

特に家族に対して。配偶者や子供に対して。

すごく我慢して、犠牲を払っているあなたは、日々心が休まらない日々を送っているかもしれません。

こころの栄養は、境界線という考え方を大切にします。
「私さえ我慢すれば」という考えには、たとえ本当は自分が守らなくてはいけない自分の領域内においてでも、
相手に対しての自由を認めてしまうことであり、自分の境界線について、野放し状態なんです。

つまり、相手を「自分の領域」に入れ込んでしまっているんですね。 ...

境界線の引き方, 気持ちとの向き合い方

人の失敗を絶対に責めない方が良い理由は、

自分が本当に挑戦したいことに、ちゃんと挑戦できるような心を作っていく

ためです。

そして、人の失敗を責めないというのは、境界線がちゃんと機能しています。

人の失敗については、「心の中」でも、実際にでも、絶対に責めない方がいいです。

人の失敗を責める時、必ず、

「失敗=してはいけないもの」

という考えが、心の中に存在しています。

この考えは、他の誰でもなく、自分に対してもちゃんと適用される自分の価値観なんです。
この価値観は心をずっしり重くします。

人の失敗を責める人は、
間違いなく自分の失敗を責めます。

人に完全を求める人は、
間違いなく自分も完全であろうとします。

もしかしたら、職場や人間関係で、「あの人は、自分もできないくせに人にばっかり言う」
なんてことを思うかもしれませんが、

人の失敗を責める人は、自分ができないことを平気とは全然思っていません。
相 ...