アドラー心理学「嫌われる勇気」シリーズ①ー生い立ち・環境・家族のせいで変われない!?には目的論
「何かのせいで、こうなってしまって、変われない!」
と思う時、アドラー心理学にある目的論の考え方が役に立ちます。
「嫌われる勇気」(岸見一郎著、ダイヤモンド社)という本、
読まれましたか?
「嫌われる勇気(Amazonで見る)」(岸見一郎著、ダイヤモンド社)
今回は、この本のテーマになっているアドラー心理学にある目的論について取り上げます。
目次
原因論では、変えられない過去に今が支配されてしまう
目的論は、「嫌われる勇気」の本の最初に取り上げられているテーマです。
目的論とは、
「○○だから△△が起きた」という因果関係を持たせる「原因論」
と反対の立場をとっています。
通常、何でも因果関係で考えてしまうことが多いと思います。
例えば、
慌てていたから忘れた。
食べたから眠くなった。
などなど。
私たちの頭は、「○○だから△△が起きた」
と、無意識に考えています。
それに対して、
目的論では、「目的」を実現するために、今の行動をとっている
という考え方です。
つまり、
「今の目的を実現するために、自分にとって都合のいい『原因』を利用している」
と考えます。
例えば、今イライラして疲れたとします。
その疲れに対して、2種類の原因をつけてみます。
①昨晩遅くて寝不足だからイライラして疲れた。
②夫が片付けをしてなかったからイライラして疲れた。
①の場合は、昼寝するための目的になりますね。
②の場合は、夫と住環境ついて話し合うための目的になります。
過去に対して、
トラウマや、生い立ち、親のせいで「自分はこうなってしまった」
と考える場合、これは原因論です。
目的論に置き換えるなら、
変わらない自分を肯定するために、
(自分が変われないのは、)過去の○○があったからだとしている
ということですね。
目的論は、ある意味では、「言い訳なし」の厳しい考え方に聞こえるかもしれません。
目的論は、「変えられない過去」は現在に関与しないと考えるんですね。
でも、この考え方、実は決して厳しくありません。
見方を変えると、過去がどのようであっても、
現在は「変化可能」という希望がある考え方なんですね。
「前進する方向」の考え方なんです。
「過去」と「自分の目的」のどっちを変えられるか?を考えてみてください。
過去は変えられなくても、自分の目的は変えられます。
生い立ちや環境といった過去が原因で「今がある」としたら、
「自分は変えられない過去に縛られているため変化不可能です。」
と言っているのと同じです。
いつまでも変えられない過去のせいで、変化不可能だと決めつけてしまうと、
当然心は、どっしり重くなってしまいます。
こころの栄養はいつも、心軽く!です。
こころの栄養とは?
【こころの栄養とは?の補足】悩み・不安・心配で心重い!そもそも心軽く生きるってどういうこと?
変わりたいときは、変われる方の考え方を選ぶ
夫の不倫が発覚した、妻の例で考えてみます。
「彼のせいで、私の人生はめちゃくちゃになった」という人がいます。
夫に対し、激しい憎悪と怒りを感じています。
自分の人生が思い通りにいかなかった全てを「夫のせい」としたくなる気持ちがあるんですね。
本当に全てが夫のせい?という考察はここでは取り上げません。
重要なことは、目的論の立場に立つなら、
「夫のせい」としている間は、妻は変わることができない
ということです。
「夫のせい」と判断した妻は離婚をして、夫と関わらなくなったとします。
でも、原因論で生き続けるなら、離婚後の生活で起きる困難に対しても、
「夫のせい」がついてくるでしょう。
原因論なら「夫のせい」にし続ける限り、
苦しい自分、変われない自分を正当化できるんですね。
アドラー心理学は原因論を否定します。
「夫のせい」としている間は、人生の課題を「夫のせい」で逃げることができます。
実際には逃げていないのですが、言い訳できるということですね。
・家庭の世話に翻弄して、自分の夢を追いかけられなかったこと。
・子供をまともに育てられなかったこと。
・イライラして、身体に悪いものばかり食べて、太ったこと。
全部「夫のせい」にすれば、責任から逃れらるような妄想を抱けるんです。
・時間をつくって、資格の勉強をすることを怠ったこと。
・子供が相談したいと言っていたのに、いつもイライラして、子供の話もまともに聞かなかったこと。
・健康な食材を選べる経済的な余裕も選択肢もあったのに選ばなかったこと。
「夫のせい」で片づけるなら、認めなくて済むんですね。
「原因論」つまり、「夫のせい」とし続けている限り、
ありとあらゆるうまくいかなかったことが、「夫のせい」になります。
ある意味、自分の問題を直視しなくて済むから、都合がいいんです。
だからこそ、
「原因論」に留まっている限り、人は変われない
とアドラーは言っています。
「夫のせい」を使って、
自分の惨めな人生を肯定し、変化を拒んだ!という事実を認めると色々なことが見えてきます。
挑戦するのも怖かった。
失敗に恐れていて、自分の夢に向き合いたくなかった。
目的論に立つなら、
「夫のせい」という原因を使うことで、
「自分は大変でできない」という状況と感情を作り出していたかもしれない
という見方もできます。
最初は、心が痛いかもしれません。
確かに、原因論から目的論は、コペルニクス的転回くらい真逆な発想です。
目的を変えて、日常を変える
何を目的にするかで、毎日は変わってくるのは事実です。
「安定」を目的にするなら、自分の目標や夢に向き合うことから避けるでしょう。
その結果、現状の仕事の忙しさや、家庭の問題ばかりが見えてくきてもおかしくないです。
むしろ、目標以外のことに集中すればするほど、自分の目標に向き合わなくて済みます。
でも、「幸せに前を向いて生きること」を目的にするなら、
夫を赦し始め、人間関係を整理し、良くない関係性はやめていくかもしれません。
建設的なことを考え、先延ばしにしていた目標や夢に向かって行動していくかもしれません。
過去に起きたことが、今とこれからのすべてを支配するわけではありません。
今どんな目的を持っているのか、これが今とこれからを変えていきます。
だからこそ、目的を変えていきます。
「夫と幸せになること」
「私が〇〇の夢を実現すること」
「子供の幸せを作ること」
こんな目的はどうでしょう?
目的を見直すことで、日常が確かに変わっていきます。
過去に縛られていた!と思っても、過去は実際には縛ることはできません。
なぜなら、過去は存在すらしていないから。
過去を吸収した「今」の自分しか存在しません。
「今」の自分が何を目的とし、
これからどう生きるのかの自由
は、「今ここ」にあります☆彡
「嫌われる勇気(Amazonで見る)」(岸見一郎著、ダイヤモンド社)
アドラー心理学のブログはシリーズで書いています。
次のテーマは②「選択」⤵です。
アドラー心理学「嫌われる勇気」シリーズ②ー毎日は「選択」の連続
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません