気持ちを切り替えることについて
余計なことを考えずに、気持ちを切り替えることができるのは立派なスキルだと思います。そして、これは意志があるならば、毎日の練習と訓練によって身につけられるものです。
自分が悩んでいるなとか、苦境に陥っているなと思ったら、できるだけ早い段階で、「今、自分はこういう状況にあるな」ということを認識することはとても大切だと思います。
認識さえできれば、
「じゃあ、どうするか?」
と考える選択肢が生まれますが、認識ができないと、ただただ感じるままに任せてしまいます。
そして、感じるままに任せれば、もう重力の法則・・・恐らく、悩みの渦にまっしぐらです。気持ちが重いなとか、苦しいなと感じる時は、もうだいぶ深く沈んでしまっているから、這いあがろうにも這い上がれない。そんな自分がますます嫌になって、毎日が面白くなくなる、苦しくなる・・・こういう負のループに入ってしまいます。
虫歯みたいなイメージかなと思います。
初期の段階で、虫歯になりかかっていると「認識」ができれば、簡単に取り除けるものでも、それが深く、深く、に虫歯が進んで、神経までやられたりしたら、完全に麻酔ありの大治療です。
でも、何が難しいと言ったら、この「認識」が難しい。
「自分が虫歯になりかかっているかも、このまま放置したら、虫歯が進行してしまうかもしれない」という段階にいるという「認識」ができてないから、自覚症状が出て、日常生活にも支障が出て、そうしてやっと気づいたときには、もう既に大きな虫歯だったなんてことがあるんです。
同じように、人の心の状態だって、少し穴が開き始めているときに「認識」をしないなら、多分、目の前に起きている現実よりも、自分の解釈だったり、考え方なりが、自分でその穴をどんどん大きくしてしまいます。自分で自分を傷つけてしまうんです。そして、言葉にできないほどの悲痛や苦しみを抱えてしまうなんてことにもなってしまうんです。
だからこそ、「自分が悩んでいるなとか、苦境に陥っているな」と思ったら、それをちゃんと感じてあげる、認識するということはとても大切なことです。
歯の場合ほどに、心は、分かりにくくありません。感情ですから。自分がいい気持ちでいるのか、そうでないのか、それは分かろうと思えば、分かるんですね。
不満を感じていたり、怒りがあったり、許せない気持ちとか、葛藤とか・・・そんな気持ちがあれば、それらは間違いなくサインです。
そのサインをちゃんと認識する。受け入れるってことです。
空元気になったり、訳もなく騒いだり、無理やりテンションを上げたり、普段しないことをし始めたり、とにかく買い物をしたり、習い事を始めたり・・・他の何かによって、そのサインをかき消そうとする代わりに、ちゃんと認識する・・・これはとても大切なことです。
虫歯だって、ほんのほんの初期で見つかれば、フッ素や歯ブラシや簡単な処置で、対策を取れるんです。心だって、自分を傷つるような穴を開けそうなサインを見つけたら、そこでちゃんと対策を取る。
つまり、それは、ちゃんと自分と向き合って、「自分は何に怒っているのかな?」とか、「そのことに対して、本当に何もできないのかな?」とか、「別の見方はできないのかな?」とか、「そもそも、そんなに重要なことなのかな?」とか・・・。
自分に向き合うというのは、こうやって、小さな小さなサインに対して、ちゃんと相手をしてあげるということです。そうすると、「あ〜もう嫌だ。やってられない。」と今までだったらすぐ投げ出してしまったり、すぐに怒ったり、すぐに落ち込んだりするという選択をしていたことに対して、「あれ?ちょっと待って?」と一息おけるんですね。
こうやって、立ち止まることが、「苦しむ」という負のループに入らないためにも、悩みを深くしていかないためにも、悶々として堂々巡りに陥らないためにも、とても大切なことです。
冒頭に書いた、余計なことを考えずに、気持ちを切り替える練習と訓練というのは、まさにこの「認識」をして、「自分をちゃんと見つめる」練習と訓練です。
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