「夫の浮気がつらい」でも別れたくないあなたへ――関係を取り戻す最初の一歩

人間関係と境界線, 夫婦との関係

【相談内容】
夫が、何度も浮気を繰り返す。何度も話し合いをして、関係をやめてもらっても、説得しても、また繰り返す。でも離婚はしたくない。(50代 女性)

今回ご紹介するのは、夫ともう一度良い関係を築きたいと心から願いながら、浮気を繰り返す夫に怒りや絶望を抱いている女性のお話です。

一般的には、浮気が発覚したら、夫が家を出て行ったり、離婚の話が進んだりすることも多いですが、このケースでは違いました。
彼女は、裏切られてもなお夫を赦し、結婚生活を取り戻したいと願っていたのです。

浮気は「×」。でも、そこに落とし穴がある

浮気は、誰がどう見ても「ダメなこと」です。
夫であれ妻であれ、「浮気してもいい結婚」なんて存在しませんし、「浮気されても平気」なんて思える人もいないでしょう。

だからこそ、浮気された側は「自分は被害者だ」「相手が間違っている(=私は正しい)」と感じやすくなります。でも、実はここに落とし穴があります。

人は、無意識化でも、「間違いは相手=(自分が正しい)」と思った瞬間、強い態度をとる傾向があるんです。
親が子どもを叱るように、先生が生徒を注意するように、正しさを持つと人は上からの態度になりやすくなります。

結婚関係でも同じ。
夫の浮気という明らかな「×」を前にすると、妻は知らず知らずのうちに「叱る側」になってしまいます。
たとえ怒鳴らなくても、無視したり、嫌味を言ったり、「許せない」という態度で接していたら、それは夫にちゃんと伝わっています。

その態度が伝えているメッセージは、たったひとつ。
「あなたは×」 です。

泣いてすがっても、怒って責めても、呆れて黙っていても。
これらは、夫にとっては「自分は責められている」「×だと思われている」というメッセージになります。

結婚は本来「対等な関係」で成り立つものです。
夫婦は、互いに支え合い、理解し合おうとするパートナー。どちらかが上から、どちらかが下から、という関係では続かないのです。

夫の浮気は、受け入れがたい悲しい現実。それでも「離婚せず、やり直したい」と願うなら、必要なのは“叱る”でも“説得する”でもなく、妻自身が賢く、強くなること

夫が浮気を続けながら、家庭には戻ってくる。
そんな都合のいい状態を変えたいなら、まず妻の側からの変化が必要です。

泣き言・嫌味・文句は、もう卒業しよう

「夫と良い関係を取り戻したい」
そう願うのなら、最初に手放すべきものは、泣き言や嫌味、文句や叱責といった、夫を責める態度

いきなり全部やめるのは無理でも、少しずつ、確実に減らしていく。
ここからが回復のスタートラインです。

もうひとつ大切なのが、「夫の浮気のせいで自分の人生が壊れた」と考えるのをやめること。

どこかに日常を変えられない自分へのイライラを、夫にぶつけている部分もあったりします。できるだけ、「自分ごと」についてを認めるところから、自分自身の回復も始まっていきます。

愛と強さを選択して、「見られる自分」になっていく

そもそも、本来なら、結婚している以上、夫は妻を見ているのが当然です。
それなのに、なぜ他の女性に目を向けるのでしょう?

ここは少し厳しい言い方になりますが――夫は、「あなたを見たくない」のです。

「あなたは×」というメッセージを受け取り続けている夫にとって、妻と向き合うことが苦痛になっているのです。
だからこそ、外に癒しを求め、他の女性に「男としての価値」を確認しに行っている。

もちろん、それが許されるわけではありません。
でも、「夫が100%悪い」としてしまうと、妻自身が変わるきっかけを失ってしまいます。

たとえ浮気の99%が夫の非だったとしても、残りの1%に目を向けられなければ、いつまでも「私は正しい」と言い続けるだけ。それでは、関係は変わりません。

浮気している夫に、「こっちを見て」と訴えても、責める気配がある限り、夫は目をそらし続けます。

もし本当に「自分を見てほしい」と思うなら、一度浮気そのものから意識を外して、夫がもう一度見たくなるような自分を目指してみませんか?

それは、外見を磨くことでも、家事を完璧にすることでも、キャリアを築くことでもありません。

本当に必要なのは、心から相手を愛すること

人は、本気で自分を愛してくれる人を無視できません。
その愛が伝わったとき、夫の心にも何かが変わり始めます。

多くの人が、浮気によってすぐに離婚を選ぶ中で、関係にとどまり、回復を信じるという選択は、簡単なことではありません。
でも、それができるあなたは、愛情深く、強い人です。

自分が愛されることを求める前に、愛することを選ぶ

欠点だらけに見える夫を、それでも信じ、受け入れ、幸せを願い、愛する。
それができるかどうかが、夫婦関係の回復の鍵になります。

浮気という苦しみを乗り越えて、もう一度夫婦として歩き出したい。
その想いがあるのなら、始めるべきは、「正しさ」ではなく「愛」からの一歩です。

心から応援しています。

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