自分が本当に感じている思いを表現するのが怖い人へ

境界線の持ち方

境界線を持つとは、自分の「やりたい・したい」の感情を所有することについて、
この「やりたい・したい」という感情をしっかり所有できていないのは、自分の感情を表現するのが苦手であったり、怖かったりするからです。

自分の正直な感情を表現しないから、いつまで経っても、心の中に本当の思いが残ることになります。

(ちなみに、こういうことをずっとやり続けていると、次第に、何が自分の思いなのかも分からなくなってきて、自分の気持ちというものが把握し辛くなり、自分が何がしたくて何を望んでいるのか、自分ですら、分からないという状態になっていきます。)

もし、家族の中で、職場の中で、何か所属しているコミュニティの中で、自分の正直な思いを表現したら、どうなりますか。

もしかしたら、

人間関係がぐちゃぐちゃになってしまう

と恐れているかもしれません。

頭の中では、

正直に本音を言う→関係が悪化する→だから言わない→言わないから、偽りの思いを表面的には演じることになる→偽りの思いを前提に進む関係は、益々自分の本当の思いと乖離してくる

ということが起きてきます。

正直になれないからこそ、いつまで経っても、うわべだけの関係しか構築できず、信頼関係が深まらない。とはいえ、傷ついたり、破壊してしまうのを恐れて、思いを口にできない。こんなスパイラルです。

とても不完全燃焼です。

自分の気持ちをうまく表現できないことによって、たまってしまったストレスや我慢、鬱憤は、別の形になって、全く関係のない他人にぶつけたり、家族に当たったり、もしくは、それも難しいとなると、本当に自分の心の中に溜め込み続けます。要は、どこかには何らかの形で出ていくんです。

そして、自分の気持ちに正直になるということが、【関係を壊す】か、【溜め込むか】の2つしか見えていない、極端な状態です。

こころにとっては、本当に不健康な状態です。

自分の正直な思いをちゃんと表現しない結果、心の中では、様々なストーリーを作り始めます。

「あの人にはこういう問題がある。」
「あの人はこうやって私を傷つける。」

主語を自分にしないで、他人のことを言いはじめる。これも、他人のことを考えることで、自分の気持ちを所有しなくて済むのを、正当化できるんですね。

他人が○○だから、わたしは自分の気持ちを表現できない

と言ったりします。

そうすることで、正直な自分の気持ちと向き合うことから逃げられるんです。

では、逃げるのをやめるなら、どういうことが起き始めるのかというと、

わたしは○○と感じたんだ

と受け入れることになります。逃げないわけですから、自分で所有し始めます。

わたしは○○したかった(言いたかったんだ)

と受け入れることになります。

最初は、静かな絶望があるかもしれませんが、少なくとも自分が心で感じていた本当の気持ちからは逃げていません。

今、所有しているこの思いが、自分の本当の気持ちだ…と把握することは、他人の行動と自分の感情にしっかり境界線が持てている証拠です。

逆に、自分の感情に対して、境界線を持たず、自分の気持ちを抑え込むと、どういうことが起きるのかというと、

泣いていいことを泣きません。
怒っていいことを怒りません。
喜んでいいことを喜びません。
悔しがっていいことを悔しがりません。

・・・

こんなことが起きてきます。

分かっていないのに分かったふり

をします。

怒っているのに、微笑んだり

もします。

無視したいのに、ちゃんと返信

し続けたりもします。

こうして、自分の本当の気持ちに蓋をし続けていると、次第に苦しくなってくるんですね。苦しくなってくるというのは、ここではいいことなんです。なぜなら、心のセンサーがちゃんと作用していることを意味しているから。

その考え方、苦しいよ!

と体に教えてくれているんです。

そのセンサーも無視して、更に苦しみ続けるのなら、今度は苦しみの中でなんとか息をしようと、

悪口を言います。
無視をします。
噂話をします。
相手を責めます。
自己憐憫に陥ります。
言い訳します。
正当化します。

などなど、色々な問題が出てきます。結果、人間関係を壊したりするんです。

最初は、人間関係を壊したくないからと思って、抑え込んで、自分の気持ちを所有することを放棄していたのに、我慢し続けた結果、もっと大きな形で、取返しのつかない形で人間関係を壊してしまうなんてことは、現実社会に沢山あるんです。

一番望んでいた「穏便に、波風立てず」が全くうまくいかなくなった時には、自分に対しても破壊的になってしまい、毎日に失望します。

自分の気持ちをしっかりと所有することは、

私は傷ついている。
私は悲しんでいる。
私は怒っている。

という気持ちを、自分自身がしっかり感じてあげることなんですね。

言葉に出すんです。人に言うんです。こころの栄養には【想いの箱】がありますから、練習と思って、そこに自分の本当に感じている気持ちを書き出してみてください。書き出す過程で、「あっ、自分は、本当はこんなことを感じていたんだ」と気づくことも沢山あります。

相手を批判する前に、

私は傷ついた。
私は辛かった。
私は見捨てられた気持ちになった。
私は悲しかった。

と口に出すこと。ちゃんと自分が自分の気持ちを受け止めること。

自分の気持ちをよそに、相手の批判をすることをやめていくこと。そうすると、自分に対しても、批判的でなくなってきます。自分自身が感じている気持ちに対して、批判的にならず、ちゃんと受け止めることで、他人に対しても批判的でなくなってきます。

自分の思いをちゃんと所有して、その思いと向き合っていくというのは、最初は、とても恐ろしいことに感じるかもしれません。

そんな恐れを感じても、とても自然なことです。なぜなら、今まで自分の感情を所有せず、生きてきたから。

ただ、恐怖を大げさにとらえない方法があります。それは、ここで話していることは、自分が本当に感じている気持ちをちゃんと自分が所有するということ、それだけなんです。いきなり他人に何かを言ったり、今までと違う行動をとったりするわけではないんです。それは次の段階。行動の前に、まずは所有です。

自分の感情と向き合って、思いを口に出していく。

他の誰にも言わなくても、少なくとも、自分が受け止め、自分の心の声を聞いてあげる。これには、失うものは何もありません。元々自分のものだったものに対して、ちゃんと所有権を行使するイメージです。

【想いの箱】に自分の本音を、自分の気持ちを整理するために、書いてみてください。そして、あ、私はこう感じているんだなを認識してみてください。

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