アドラー心理学「嫌われる勇気」課題の分離2(7)

心理・思考

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今回は、アドラー心理学「嫌われる勇気」課題の分離1(7)の続きです。

他人への過度な気遣いによって、課題の分離ができない!?

アドラーは悩みのほとんどは対人関係であり、課題の分離ができていないことで問題が生じると言いますが、これが本当に難しいのは、たとえ、自分ができたとしても、「他の人は課題の分離をしてこない、できない」と心のどこかで思っていることです。

たとえば、私は、課題の分離をするけれど、「あなたは私がこうすることで、傷つくよね」とか、「私のこの行動、理解しないよね」と、どこか、相手は課題の分離ができないのではないかと思ってしまいます。

そうすると、相手がどう考えるかが気になって仕方ないので、結局自分もやっぱり課題の分離をするのをやめて、相手に合わせてしまうんです。

当然、いつまでも課題の分離が進まないので、いつまで経っても、踏み込む必要のない他人のことで悩んでしまうという循環が止まらなくなります。

特に日本人は遠慮の文化もあり、目立つことに対して消極的です。だから、理屈で「課題の分離」を理解しても、目の前の人に結局合わせてしまう、しかもそれが「優しさ」「親切」など、自分の頭の中でなんとなく美化されてしまっていることもあります。

課題の分離ができない他人に振り回されるな

例えば、家の外にいるときは幸せいっぱいで、笑顔も溢れ、本当に愛のある人で、友人にも親切にしていたのに、家に買った途端に、落ち込んだり、イライラしてしまうということがあったとします。

家にはうつ状態の夫がダラダラとテレビを見ていました。そうすると、「あれ?さっきまでの自分は何だったの?」っていうくらい、人が変わったように気分が変わってしまうことがあります。

何か問題があります。

これは夫のせいでも家のせいでもありません。その夫と離れない、その家から引っ越しするという選択をするわけではないのなら、やっぱり、何かがおかしい、間違っているという考えに立たなくては、いつまで経っても幸せになれません。

好き勝手なことをしている夫を前に、この人は病気だからとか、落ち込んでいるからといって、いつまでも寄り添い、まるで腫れ物に触るかのように接していたら、それをやり続ける過程で、今度は自分が疲れてしまいます。

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人は疲れたら、まともに動けないんです。自分が疲れてしまって、問題を抱えている夫と同じように、人生にヤル気をなくしてしまったら元も子もないんです。

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「寄り添う」、「助ける」という言葉に誤魔化されて、当人が向き合わないといけない課題に入り込んで、自分も同じように苦しまなくてはいけないなんてことは大間違いです。犠牲的な行動は、どこかで限界がきてしまいます。

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課題の分離ができない人はどこまでも他人を引き込もうとし、巻き込もうとします。自分がそうするのもやめ、相手にそのようにされたら、相手に合わせないこと。自分は幸せになれる時はいつでも幸せになっていいんです。

他人が課題の分離ができないことは、他人の課題ですから、究極、ほっておけばいいんです。

適度な距離を保ち、自分が幸せになる

人間は近すぎるとぶつかります。愛し合っている間柄でも、距離が近過ぎれば、熱が発生し、喧嘩しやすくなります。個人と個人が共存し合うにはいつでも適度な距離が必要です。

人間関係で問題がある人は、ほとんどの場合、その関係が近づきすぎてしまっています。(これ物理的な距離が離れていても言えることです。離れている場合に問題が出るのは、どちらかが「離れている事実」に合意していません。本当に離れたくて離れた人には、何にも問題などありません。むしろ、相手は離れたいと思っているのに、もう一人が、心の中で、近づきたいと感じていて、実際に相手に近づこうとしすぎて、現実の距離とのギャップに苦しくなってしまうのです。)

恨みつらみを抱きながら離れるのではなく、自分が幸せになるために離れます。そして、相手には少し時間がかかるかもしれないけれど、ことの重大さを理解し、自分の課題に向き合ってもらいます。(決して、相手に課題の分離をさせるために離れるわけではありません。)

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離れることは勇気がいります。

勇気が奮い出せない時、もう一度考えてみてください。それは、関わることでイライラする人、不愉快になる人に近づくということは、どう考えても不自然だということです。そういう不自然なことをし続けていると、自分がどんどん辛くなっていきます。すると、これまで自分にあった人への親切も、笑顔も、明るさも、優しさもみんな消えて無くなってしまうんです。

対抗勢力に飲み込まれない、相手が課題の分離ができなくても、いつまでも気を遣って、自分まで課題の分離をやめて、「相手と向き合う」なんて努力をしないことです。

自分の幸せを守ること、これが、結局周りを幸せにしていきます。そして自分の幸せを奪わないように、1日を精一杯過ごしてください。

【これまでのアドラー心理学シリーズ】
・周りの人が自分を不幸にする時は・・・・・  アドラー心理学「嫌われる勇気」課題の分離1(7)
・認められたくて仕方のない時は・・・・・・  アドラー心理学「嫌われる勇気」承認欲求(6)
・どうせ〜できないと感じる時は・・・・・・  アドラー心理学「嫌われる勇気」劣等感(5)
・傷つきたくないと思っている時は・・・・・  アドラー心理学「嫌われる勇気」自分が嫌い(4)
・変わりたいな、でもと思う時は・・・・・・  アドラー心理学「嫌われる勇気」変化(3)
・わかっているけれどできない時は・・・・・  アドラー心理学「嫌われる勇気」選択(2)
・誰かのせいでイライラしている時は・・・・  アドラー心理学「嫌われる勇気」目的論(1)

共依存の家族問題にアドラー心理学を推奨する理由

こころの栄養とは?
こころの栄養のメインテーマ:人間関係の境界線について